アパート退去費用200万円——「まさか」の請求事例と徹底減額マニュアル

「アパートなのに退去費用が200万円——」。普通の賃貸アパートでこんな請求を受けたら、目を疑いますよね。でも、これは実際にあった話です。そして適切に対処すれば、数十万円まで減額できるケースがほとんどです。
この記事では、アパートで200万円超の退去費用を請求された実例をもとに、なぜそこまでの金額になるのか、どうやって減額するのかを解説します。
- ① 築古物件+長期入居+管理会社変更——新管理会社が「前の管理が甘かった」と全面修繕を請求
- ② 独居高齢者+ゴミ屋敷化——残置物処理+原状回復+消臭で積み上がる
- ③ ペット多頭飼育+短期退去——壁・床・柱すべてに傷。全面張替え不可避
事例①:築30年アパート・入居15年——210万円→18万円(▲91%)
状況:2DK・築30年・入居15年・60代男性一人暮らし。入居当初の管理会社Aから、途中で管理会社Bに変更。退去時、管理会社Bから「前の管理会社が修繕を怠っていたため、借主に全額負担してもらう」として210万円の請求。
請求内訳:クロス全面張替え 65万円/フローリング全面張替え 55万円/畳表替え 20万円/キッチン交換 40万円/浴室改装 30万円
減額の決め手:入居15年のため、クロス・畳は残存価値ゼロ。フローリングも耐用年数15年を超過。キッチンと浴室の交換は「大家の資産価値向上のためのリフォーム」であり、借主負担ではないと主張。管理会社Bに対して「前の管理会社が修繕を怠った責任を、なぜ入居者に転嫁するのか」と内容証明で抗議。
結果:消費者生活センター介入後、管理会社が折れ、クリーニング代+残置物処理費の18万円のみで決着。約192万円の減額に成功。
管理会社が変わったときに「前の管理が甘かった」として入居者にしわ寄せが来るケースは少なくありません。しかし管理会社間の引き継ぎの問題を入居者が負担する義務は一切ありません。この理屈で請求されたら即座に拒否しましょう。
事例②:1Kアパート・入居12年・ゴミ屋敷——230万円→65万円(▲72%)
状況:1K・築25年・入居12年・70代女性。疾病により清掃ができず、室内に大量の生活ゴミが堆積。退去時、残置物処理+原状回復+消臭作業で230万円の請求。
請求内訳:残置物処理 55万円/消臭・殺菌 60万円/クロス全面張替え 40万円/フローリング張替え 45万円/水回り全交換 30万円
減額の決め手:クロス・フローリングは入居12年のため残存価値ゼロを主張。消臭費用60万円は相場(10〜30万円)の2〜3倍と高すぎるため、他社見積もりを取得して20万円を提示。水回り交換は経年劣化として拒否。
結果:残置物処理 55万円+消臭 10万円(相場まで圧縮)の計65万円で決着。165万円の減額。ゴミ屋敷化していた部分については入居者の責任が明確なため、残置物処理費は受け入れた。
残置物処理費と消臭費用は借主負担を免れにくい項目です。しかし、それ以外のクロス・フローリング・設備交換は入居年数に応じた減価償却を適用すれば大幅に下がります。「自分の責任部分」と「経年劣化部分」を明確に分けて交渉することが重要です。
事例③:木造アパート・入居3年・猫5匹——195万円→95万円(▲51%)
状況:2DK・木造アパート・入居3年・猫5匹(ペット可物件だが頭数制限2匹を超過)。壁・柱に無数の引っかき傷、畳の全面尿染み、フローリングの深い傷。195万円の請求。
請求内訳:クロス全面張替え 55万円/畳全交換 20万円/フローリング一部張替え 50万円/柱・建具補修 30万円/消臭 40万円
減額の決め手:入居3年のため減価償却は50%。クロス 55万円→27.5万円、畳 20万円→10万円。柱・建具補修は実費見積もりを取得し30万円→15万円に。消臭費用は相場を超える部分を指摘し40万円→25万円。
結果:100万円の減額に成功。ただしペットによる損耗は借主責任が明確なため、残り95万円は支払い。
ペットによる損耗は過失が明確なため、大幅な減額は難しいのが実情です。それでも「減価償却の適用」と「相場を超える単価の指摘」は必ず行いましょう。また火災保険の借家人賠償責任保険が使える可能性もあるため、保険証券を確認してください。
200万円請求への共通対策——どこから手をつけるか
- パニックにならない——200万円は「最大限の請求」であり、そのまま通ることはまずない
- 請求書の全項目を分類する——①明らかに不当(経年劣化なのに全面張替え)、②単価が高すぎる、③自分の過失部分——の3つに仕分ける
- 減価償却を徹底適用する——入居年数が長いほど効果は絶大。クロス・畳は6年超でゼロ
- 単価の妥当性を検証する——㎡単価が相場の1.5倍を超えていたら、他社見積もりを取って対抗
- 第三者機関を早期に巻き込む——200万円規模なら消費生活センター(188番)への相談は必須。弁護士への依頼も検討
関連記事
よくある質問
残念ながら実際にあります。特に築古物件の長期入居者に管理会社変更が重なったケース、ゴミ屋敷化、ペット多頭飼育では200万円を超える請求が発生することがあります。ただし適切に対処すれば大幅減額は可能です。
ケースバイケースですが、入居年数が長いほど減額幅は大きいです。記事内の事例①(入居15年)では210万円→18万円(▲91%)、事例②(入居12年)では230万円→65万円(▲72%)の減額に成功しています。
大いに関係あります。新管理会社は「前の管理が甘かった」として、本来貸主負担の修繕まで借主に請求してくることがあります。しかし管理会社間の引き継ぎの問題を入居者が負担する義務はありません。
200万円規模であれば、弁護士への依頼を強くおすすめします。着手金10万円程度+減額分の10〜20%が報酬金の目安。大幅減額できれば費用を差し引いても十分な手残りになります。
「全面張替え」の一括請求が最も多い手口です。部分補修で足りるのに全面張替えで見積もることで金額を嵩上げしています。まずは「全面張替えが必要な客観的根拠」を求め、部分補修見積もりとの比較を要求しましょう。


