タバコのヤニによる退去費用——喫煙者はいくら請求されるのか

喫煙者が退去するとき、最も気になるのが「タバコのヤニでいくら請求されるのか」ではないでしょうか。結論から言うと、禁煙者の2〜3倍の退去費用を見込んでおく必要があります。
しかし、請求額のすべてをそのまま受け入れる必要はありません。特に近年普及している加熱式タバコ(IQOS・glo・Ploom)や電子タバコの場合、紙巻きタバコよりヤニの付着が少なく、請求額の減額交渉が可能なケースがあります。
- タバコのヤニによる損耗は通常損耗ではない——借主の生活習慣による損耗と判断される
- 加熱式タバコ(IQOS等)でもヤニは付着する——紙巻きより少ないがゼロではない
- 消臭費用は請求書に明記されないこともある——「ハウスクリーニング代」に含まれているケースが多い
喫煙者の退去費用——項目別の相場
| 費用項目 | 禁煙者の退去 | 喫煙者の退去 | 増加額 |
|---|---|---|---|
| クロス全面張替え(1LDK) | 0〜60,000 円 | 80,000〜150,000 円 | +80,000〜90,000 円 |
| 天井クロス張替え | ほぼ請求なし | 30,000〜60,000 円 | +30,000〜60,000 円 |
| 消臭・脱臭作業 | 0 円 | 30,000〜80,000 円 | +30,000〜80,000 円 |
| ハウスクリーニング | 15,000〜35,000 円 | 30,000〜60,000 円 | +15,000〜25,000 円 |
| エアコン清掃 | 0〜15,000 円 | 15,000〜25,000 円 | +10,000〜15,000 円 |
| 合計(1LDK目安) | 5万〜10万円 | 15万〜35万円 | +10万〜25万円 |
喫煙者の退去費用がここまで跳ね上がる最大の理由は、天井のクロス張替えです。タバコの煙は上に昇るため、天井のクロスが最もヤニで黄ばみます。壁は部分張替えで済んでも、天井はほぼ確実に全面張替えになります。
加熱式タバコ・電子タバコ——紙巻きとの違いは請求額に反映されるか
| 種類 | ヤニの付着 | 臭いの残留 | 退去費用への影響 |
|---|---|---|---|
| 紙巻きタバコ | 非常に多い | 強く残る | 全面張替え+消臭(15〜35万円) |
| 加熱式(IQOS等) | 少ないが付着する | 弱いが残る | 部分清掃+軽度消臭(8〜20万円) |
| 電子タバコ(VAPE) | ほぼなし | ほぼなし(香料による) | 通常の退去費用に近い(5〜12万円) |
管理会社が「喫煙あり」というだけで紙巻きタバコと同じ金額を請求してきた場合、「加熱式タバコ(IQOS)のみの使用であり、紙巻きタバコのようなタールによるヤニの付着はありません。現地を確認し、実際の汚損に基づいた見積もりを出してください」と伝えましょう。実際に現地確認で紙巻きより汚れが少ないと判断され、減額された事例があります。
喫煙者の減額交渉——3つの現実的なアプローチ
① 天井クロス:全面張替えはやむを得ないが単価は交渉できる
天井クロスの黄ばみは、残念ながら部分補修では対応できません。ヤニは部屋全体の天井に均一に付着するため、一面だけ張り替えても色の違いが目立ちます。天井全面張替えは受け入れつつ、㎡単価が適正かを確認しましょう。
② 壁クロス:部分張替えで対応可能なケースあり
壁のクロスは、天井ほどヤニが付着しません。特に窓際や換気扇周辺など、空気の流れがある場所だけが黄ばんでいるケースが多いです。「黄ばみがある壁面は○面だけです。全面ではなく部分張替えの見積もりを出してください」と要求しましょう。
③ 消臭費用:業者の見積書を必ず取る
消臭・脱臭作業は業者によって金額が大きく異なります(3万〜8万円)。管理会社が系列の業者に発注し、マージンを上乗せしているケースもあるため、「消臭作業のみ他社の見積もりを取ってもいいですか」と伝えることで、管理会社側が適正価格に修正することがあります。
退去前にできるセルフ対策——請求額を1/3に減らす方法
- 壁・天井をセスキ炭酸ソーダ水で拭く——ヤニはアルカリ性なのでセスキ(弱アルカリ)で落ちる。スプレーボトルにセスキ炭酸ソーダ大さじ1+水500ml。雑巾で拭くだけで黄ばみがかなり薄くなる
- エアコンフィルターを洗浄する——フィルターのヤニ汚れが査定で目立つ。水洗い+中性洗剤で落とせる
- 換気扇・レンジフードの掃除——ヤニ+油汚れが最も蓄積する場所。セスキ水+激落ちくんで徹底的に
- オゾン脱臭機をレンタルする——1泊2日で3,000〜5,000円程度。退去前に1〜2日稼働させるだけで臭いが大幅に軽減される
- カーテンレールの上を忘れずに拭く——煙が上昇して滞留する場所。見落としがちだが査定では確実に見られる
セスキ炭酸ソーダ1袋300円+雑巾+半日の作業で、クロス張替え費用を5〜10万円減らせる可能性があります。やらない理由はありません。特に天井は脚立が必要ですが、ホームセンターで1日1,000円程度でレンタルできます。
「禁煙物件で吸っていた」場合——さらに厳しくなる現実
禁煙物件で喫煙していた場合、契約違反となるため、通常の喫煙者よりさらに厳しい請求になります。
- 退去費用+損害賠償(クリーニング費用の1〜2倍)を請求されるケースあり
- 管理会社が強気の態度を取り、交渉が極めて難しくなる
- 連帯保証人にも請求が行くため家族問題に発展するリスクもある
禁煙物件での喫煙は、もはや「退去費用を安くする交渉」の枠を超えています。正直に申告した上で、誠実に対応するしかありません。
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よくある質問
なります。契約書上「室内禁煙」とされている場合、ベランダも物件の一部であるため、管理会社によっては「喫煙あり」と判断されることがあります。ただし、室内で吸っていなければクロスや天井のヤニ汚れはなく、請求額は格段に少なくなります。「室内では一切吸っていません。現地確認してください」と主張しましょう。
安くなるケースが多いです。IQOSはタールを含まないため、紙巻きタバコのようなベタつくヤニが付着しません。ただし、まったく汚れないわけではなく、消臭費用はかかることが多いです。「加熱式タバコのみの使用。紙巻きタバコの使用歴なし」と明言し、現地確認を求めましょう。
消臭費用が「ハウスクリーニング代」に含まれている可能性があります。喫煙ありの場合、通常のクリーニングより1.5〜2倍のクリーニング費用になることが多く、その差額が実質的な消臭費用です。「クリーニング費用の内訳を出してください」と要求しましょう。
水のつけすぎや強く擦りすぎが原因です。それ以上触らず、管理会社に正直に伝えてください。隠そうとすると後でより大きなトラブルになります。セルフクリーニングはあくまで「表面のヤニを薄くする」程度に留め、クロスを傷めるような作業は避けましょう。
必ずしも全額没収にはなりません。実際にかかった原状回復費用を上回る部分があれば、差額は返還されるはずです。ただし、喫煙による損耗は範囲が広くなりがちで、敷金では足りずに追加請求されるケースも多いです。


